今年度も、キンダーカウンセラーとして勤務している幼稚園で、研修を行いました。
今回は特別なテーマを決めず、先生たちから出てきた疑問や悩みをシェアし、その中から2,3個トピックスを選び、答えていくというものでした。
先生たちから出たテーマをまとめると、大きく3つでした。
・話が理解できない/伝わらない
・注意がすぐ逸れる
・自信がなく、集団の中で自分を出せない
どれも保育をしていく上ではとても気になるテーマですね。
その中から、基本的でとても重要なテーマを一つ取り上げてご紹介します。
・『話が理解できない/伝わらない』
「話をしても伝わっている感じがせず、返事はするけどまた繰り返すので、理解しているのかどうかわからない」これはよくある質問や悩みなのですが、子どもの事を理解する際に、この問いには一つ、大きな落とし穴・思い込みが隠されています。
それは、
『話が分かれば、やる/やらない、だろう』という思い込みです。
大人はこちらの言っていることが分かれば、それに従って子どもが好ましいことをやるだろう、好ましくないことはやらないだろう、と考えがちです。
事実、多くの子は大部分において大人が真剣に伝えたことを理解すれば、大人の期待に応えて行動を修正してきます。
しかし、そうばかりとは限りません。話を理解できることと、理解した内容に従うことは、本来別の次元の事として理解すべきことなのです。
ですから、先の質問は、実は2つの事を同時に聞いているのだということに気づくべきなのです。
「話をしても、理解できているかどうかわからない」
「指示に従わない」
こう考えれば、まずその子の知的な能力、会話の能力から、こちらの言っていることを理解できているのかどうか、そういう目線で事態を理解できるようになります。
もし理解できていないのであれば、従えるわけはありません。どうすれば理解しやすいのかを考えるのが先決でしょう。
理解した上で、従わないのだとしたら、
モチベーションの部分に問題があるのか、先生と子どもとの関係性に問題があるのか、子ども同士の関係性に問題があるのか、はたまた家庭環境の要因なのか、子どもの行動をつぶさに観察し、原因を探っていきます。
こういった疑問を持つのはは、なにも幼稚園や保育園だけではありません。
学校や児童デイサービス・放課後デイサービスなどでもよくある光景です。
子どもの発達(知的)水準の理解と、子どもの行動の問題を、ごっちゃにして考えてしまうと、事態が見えづらくなるのです。
子どもを支援する者としては、子どもの知的水準や発達特性、そしてそれらと環境との相互作用が、”行動”として表れているのだということをしっかりと理解し、関わりたいものですね。
発達相談室つばさでは、幼稚園・保育所・児童デイサービス・放課後等デイサービスへのコンサルテーション、事例検討、勉強会のご相談も承っています。
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