不登校、ひきこもり、これらの問題に対して、どのような対応が必要なのでしょうか。
「本人のペースに合わせて、ゆっくりと待つ」
というものや、
「適応指導教室、デイケアなどを使って、徐々に外出・社会参加を促す」
といったことをよく聞きます。
これらはもちろん間違いではありませんが、適切な情報収集と分析なしにこういった対応をただあてもなく取り続けるというのは、個人的にはお勧めできません。
なぜなら、不登校や引きこもりになる背景には様々な要因が絡み合っていて、それらのどこが問題となっているのか、どこなら改善しやすいのか、という視点と、具体的なプランこそが改善にとって重要だからです。
大切な3つの視点
これは最近では主流になっている「生物・心理・社会モデル」というものです。
様々な問題に対処するときに、
・生物学的問題(主に医療の対象となるような身体・精神疾患に関する問題)
・心理的問題(個人の心理的問題、認知の仕方のくせ、知能に関する問題)
・社会的問題(家族や家族を取り巻く社会の問題)
この3つ全ての領域に目を向け、医療や福祉、そして心理の人間が協同して解決にあたるのが望ましいとする考え方です。
すこし難しい話になりましたが、訪問カウンセリングでは上記のうち、「心理的問題」と「社会的問題」の両者に取り組みやすい性質を持っています。
不登校の原因としてイメージしやすいのはいじめによるものだと思います。
では、いじめを解決すれば登校を再開できるのか、というとそうとも限りません。
例えば、いじめをきっかけに生じる対人恐怖、そこから派生した外出することへの不安、その根底にある「外(社会)に出ると恐ろしいことが待っている」という間違った信念などの認知の問題を解決・修正しない限り、いじめの解消を保証したり、励ましたりするだけでは本人の助けにならないからです。
他にも、学業不振の問題があるかもしれません。
長期に渡り学習の機会を失ったことによる学力低下、あるいは、元から知能になにかしらのハンディキャップを持っている場合、どちらにせよ、復帰後の学習環境が本人の取り組めるものでなければ、どれだけ周囲が励ましたとしても、本人に登校できそうだという気持ちが起こらなくて当然です。
ひきこもりに関しても同様に、うつ病や統合失調症に代表されるような生物学的要因、トラウマや発達障害、様々な心理的問題による心理的問題、家族の関りや、社会的なサポートの薄さによる孤立などの社会的問題、いろいろな要因が想定されます。
よく耳にするのが、たとえ医療機関や福祉・教育の相談機関にかかっていても、「様子を見ましょう」というアドバイスや、薬の処方だけで、特に家族へのアドバイスがなく、”これでいいのかな”と悩む保護者様の声です。
発達相談室つばさのカウンセリングでは生物・心理・社会、全ての面に注目し、どのようなメカニズムで現在の不登校や引きこもりが生じているか、ご家族やご本人と共有します。その上で具体的な解決策や行動プランを作成し、共に取り組んでいきます。
具体的には生物学的問題が疑われる場合には医療機関受診のご提案を、既に受診されている方にはその結果を教えていただき、カウンセリングの参考とさせて頂きます。
心理的な問題が疑われる場合、本人の自尊心低下や認知の癖、発達障害の有無やそれにまつわる思考の癖や対人関係の持ち方、知能を含む学力の問題などを見極め、カウンセリングや心理教育、本人に合った学習環境の提案をさせて頂きます。
社会的な問題が疑われる場合、適切な福祉サービスのご案内や教育環境のご提案、ご家族の関わり方や対応のポイントなどを伝えさせていただきます。
お子さんが不登校・ひきこもりになった意味は…?
さて、これだけ「改善のために」と言っておいて何なのですが…
不登校・ひきこもりに関して、「元の生活に戻る」ことが必ずしもゴールと言えるのでしょうか?
なにがなんでも学校に戻ること、社会一般の人と同じ”平均的な”生き方をすること、それが本当にお子さんや本人にとって一番幸せなことでしょうか…。フリースクール、通信制、定時制、学校の形も様々ですし、”なりたい自分”がはっきりしていれば、そこにつながる道は必ずしも学校だけとは限りません。
生き方は多様です。幸せの形も人によって様々です。”ふつうであること”が必ずしも幸せだとは言い切れません。
今一度、どう生きたいのか、どういう人生を送り、どういった幸せを求めたいのかを、ご本人とご家族様がしっかりと見つめなおす機会が訪れているのかもしれません。
ご本人様、ご家族様の幸せや充実した人生の一助となれるよう、力を添えられれば幸いです。
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